個人事業主の開業時やること必要なことリストアップ

個人事業主としての道を歩むためには、独自のビジネスを立ち上げる準備と手続きが必要です。

弊社はこれまで11年間、独立や起業を応援するバーチャルオフィスを運営してきました。その中で多くの個人事業主、起業家、フリーランスの方と接する機会がありました。その中には手順を正しく準備し、スムーズに開業する方もいれば、手続きを調べずに行き当たりばったりになり、要領が悪いと感じる方も多くいらっしゃいました。

そこで今回は、実際の起業内容によって必要な手続きや準備が異なることを考慮しつつ、個人事業主として開業する際に一般的に必要な要素を詳細にリストアップし、ビジネスをスムーズにスタートできるように案内します。この実用的なガイドを活用して、エンタープレナーシップの旅を成功に導いてください。

目次

個人事業主開業前に決めておくこと

1ビジネス名(会社名)の選定

新たな事業を始める際の最初の一歩は、ビジネス名(会社名)の決定です。個人名でのビジネス展開も一つの選択肢ですが、将来的に法人化を視野に入れている方には、専用のビジネス名を設定することをお勧めします。

ビジネス名の有無が大きな違いを生むとは思えないかもしれませんが、実はこれが大きな差別化要素となります。特に、ビジネス名が存在することで、組織としての認知度や信頼感を向上させることが可能です。

ビジネスの”見た目”は重要な要素です。名刺やウェブサイトに個人名だけが記載されていると、プロフェッショナルさに欠けて見えるかもしれません。一方、ビジネス名が明確に表示されていれば、組織としての信頼性を醸し出すことができ、良い印象を与えることができます。

ビジネス名の選定は、いくつかの候補を挙げてから決定するとよいでしょう。選択に迷った場合は、「社名占い」も一つの選択肢です。個人の名前がその人の運命を左右すると言われるように、ビジネス名もまた重要。迷ったときは、占いを活用してみるのも面白いかもしれません。

参考情報
社名占い

2税金申告の形式を選択:青色申告か白色申告か

青色申告

個人事業主を開業すると、利益に応じて税金を支払う義務が発生します。税金の申告方法としては、様々な控除が利用可能で優遇措置が受けられる青色申告と、白色申告の2つの選択肢があります。

青色申告を選択した場合、複式簿記による記帳が必要となります。これは一見手間がかかるように思えますが、最大65万円の控除が可能で、損失が出た場合でも3年間繰り越すことができるという利点があります。一方、白色申告を選んだ場合、税務上の優遇措置はほとんどありませんが、簿記の手続きが簡略化されるというメリットがあります。

3家族を従業員として雇うかを決定する

これは一般的に「青色専従者控除」と呼ばれる制度です。青色申告を選択した場合、家族を従業員として雇うとその給与を経費として計上できます。したがって、税務対策の観点からは、家族を専従者として雇うことが有利になります。

詳細は節税のページで説明していますが、この決定は開業届を提出した後でも行うことができます。ただし、後から変更すると税務署に再度手続きを行う必要がありますので、開業届を提出する前に決定しておくことをお勧めします。

開業時準備しておく物

3税務署に提出する「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を記入

開業届

個人事業主・フリーランスとして開業するには国税の徴収を担う管轄の税務署に開業届や「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

事前に国税庁のホームページからダウンロードが可能なのでダウンロードして印刷して記入しておきましょう。

4都税事務所に開業届

都税事務所

上記は税務署で主に国税関連ですが、事業を興す場合「個人事業税」という地方税も払わなければなりません。そのため開業届は都道府県に出します。東京の場合東京都主税局になります。

5印鑑の準備

印鑑

印鑑は日本の商取引において頻繁に利用されます。申込書や契約書には通常、印鑑が必要です。法人の場合、「会社実印」、「会社銀行印」、「角印」の3種類の印鑑を作成します。

それに対して、個人事業主は登記が不要であるため、実印は必要ありません。また、特別に銀行印を作成する必要もありません。しかし、申込書や契約書に印鑑を押す機会が頻繁にあるため、個人事業主としてビジネス名(屋号)を設定した場合、その名前を表す印鑑を一つ準備しておくと良いでしょう。

費用

費用:3,000円~10,000円程度(角印)

6インターネット回線の準備

ネット回線

これは言うまでもなく、インターネットの準備は必須です。自宅に既にインターネット回線が引かれている方も多いでしょうが、スマートフォンのみで家にインターネット回線を引いていない方もいるかもしれません。

現在ではスマートフォンのテザリングやWi-Fi等も普及していますので、それほどインターネットを使用しない場合はそれらで十分かもしれません。しかし、PCでの作業が多い場合は、やはりインターネット回線を引いて作業した方が良く、作業時間の短縮に繋がります。

費用

◆一戸建ての場合

bフレッツ+プロバイダー

5500円/月~

◆マンションの場合

bフレッツ+プロバイダー

3400円/月~

7パソコンの購入

ノートPC

業種によりますが、一般的に業務遂行にはパソコンが必要となることが多いです。1台でも作業は可能ですが、メールのやり取りや外出先での業務を想定すると、ノートパソコンがあると便利です。

理由としては、個人事業主になると、請求や経理などサラリーマン時代には経験の少なかった事務作業が増えるためです。ノートパソコンがあれば、アポイントメントの間隙や移動時間に請求書の作成などの簡易な事務処理を行うことが可能になり、作業効率の向上に寄与します。

費用

ノートpc4万~

8固定電話

固定電話機

近年では携帯電話の普及により、固定電話の利用が減ってきています。名刺にも携帯電話番号が記載されることが増えています。しかし、依然として固定電話の存在は便利であり、信頼度を高める要素ともなります

一番良い選択肢はNTTの電話番号を利用することですが、最近では050のIP電話も一般的になってきています。IP電話は固定電話だけでなく、スマートフォンのアプリからも利用できるため、非常に便利です。

特におすすめなのが格安SIMのイオンモバイルです。通話無制限の050のIP電話アプリも利用でき、月額2630円からというコストパフォーマンスの良さから、電話発信を頻繁に行う方にとっては非常におすすめです。

費用

◆NTT固定電話を開設した場合

施設設置負担金 36,000円
月額 1700円~1800円

◆050IP電話アプリ(イオンモバイル)

音声simプラン月額通信料 1,130円~
オプション050電話かけ放題パック 1078円

9銀行口座の開設

個人事業主用の銀行口座を開設することは必ずしも必須条件ではありません。従来からご自身が使用していた口座を使用することも可能です。ただし、屋号で事業を運営する方や、税金を青色申告する方は、事業専用の口座を開設すると、経理や帳簿の管理が楽になります。

業務効率化の観点からも、個人事業主用の銀行口座を開設することをおすすめします。また、余談ですが、「バーチャルオフィスの銀行口座開設」でも述べていますが、新しく法人を設立したばかりの場合、銀行口座の開設には審査があり、必ずしも審査が通るとは限りません。

しかし、個人事業主として銀行口座を開設し、実績を積んでおくことで、法人化したときに既存の実績があるため、比較的スムーズに銀行口座を開設できる可能性があります。

但し屋号名付きの銀行口座を開設する場合開業の証明が必要なので各種届出を済ませた後になります。

GMOあおぞらネット銀行

10名刺

名刺

名刺用のラベルを購入し、テンプレートギャラリーを活用して自家製の名刺を作成することも可能です。プリンターさえあれば、基本的な名刺なら自分で作成できます。

しかし、現在では格安の印刷通販が普及しており、約1500円でネット上で名刺の印刷を依頼できます。そのため、これらの格安ネット印刷サービスを利用するのがおすすめです。

特に積極的な営業活動を行う場合は、名刺に一工夫、二工夫を加えることが必要となります。

ロゴなどのデザインはもちろんのこと、キャッチコピーの挿入や顔写真の追加など、コンテンツの工夫が求められます。そのような場合、費用が少し高くなっても、プロのデザイナーにデザインを依頼し、その上で印刷を依頼するのが良いでしょう。

費用

印刷:1000円~(100枚)

デザイン:4000円

ロゴデザイン:2万~10万円(デザイナーによりかなり幅がある)

依頼する場合の合計はデザイン込で2万円~

11独自ドメインメールアドレスとメールサーバー

独自ドメイン

最近では、FAXよりもメールがビジネスのやり取りに多く利用されています。メールはビジネスにおいて欠かせないツールです。YAHOOメールやGmailなどの無料メールサービス、あるいはプロバイダーが提供するメールを利用することで、費用をかけずにメールのやり取りが可能です。

ただ、これらの無料メールサービスを使うと、プロフェッショナルさに欠け、自社を他社と差別化することが難しくなります。ビジネスの相手に対してGmailなどの無料メールアドレスを使用していると、信頼性の問題が生じる可能性があります。そのため、独自のドメインを取得してメールサーバーを設定し、自社を他社と差別化することをお勧めします。月々の維持費用は約300円からとなっていますが、これにより自社を少しでも他社と差別化できるならば、その費用は十分に価値があると言えるでしょう。

費用

独自ドメイン年額1700円程度

サーバ―年額:6000円程度

12FAX

fax

最近ではメールの普及により、FAXの使用頻度は減ってきました。しかし、ビジネスの現場では依然としてFAXが使用されており、多くの会社の名刺にはFAX番号が記載されています。従って、FAX番号は必要不可欠といえます。

上述した電話と同様に、NTTの固定電話番号と一緒にするのも一つの選択肢です。しかし、実際には業種によっては、FAXをあまり使わないところもあるかもしれません。また、FAX機は大きく、自宅に置いていると場所を取るため邪魔になることもあります。そういった方々には、インターネットFAXが便利です。

費用

・FAX機器を購入する場合

2万円~

・インターネットFAXを利用する場合

月額1000円~2000円

13ホームページ

個人事業主の場合、法人に比べると信頼度が落ちることが避けられません。そのため、信頼度を高めるツールとしてホームページは大いに役立ちます。同じ業務を依頼する際には、名刺とホームページが整っている企業に依頼したくなるでしょう。

個人事業主にとってホームページは必須ではありませんが、存在しているとビジネスチャンスが広がります。積極的に営業を行うのであれば、ホームページの存在は非常に重要です。

また、SEO対策をきちんと行えば、ホームページ自体が新規のクライアントを見つけてくれる可能性があります。このため、広告費用に対する効果も大きいといえます。

14プリンター・スキャナー

プリンター

現在はペーパーレス時代とも言えますので、かつてほどプリンターの必要性は薄れてきました。しかし、やはりプリンターがないと不便な場面は多いです。プリンターの価格は様々ですが、安易に初期投資を抑えるために安価なものを選ぶと、実際には使い勝手が悪いことが多いです。

最近のプリンターメーカーは、本体よりもインクの販売で利益を得るビジネスモデルに移行しています。その結果、インクの消耗が早くなっていたり、インクジェットプリンターでは黒インクだけを入れても使えない場合があります。

そういったランニングコストや、1枚あたりのコスト、黒インクだけでも使えるかどうかといった点も考慮してプリンターを選ぶことが重要です。印刷物が多い場合は、コストや効率面から見てレーザープリンターが適しているでしょう。

また、スキャナーも意外と便利なツールです。スキャンした書類をメールで送ることでFAX代わりに利用でき、通信コストの削減にも繋がります。業種によりけりですが、スキャナーを使う機会の方が多いかもしれません。

費用

2万円~

15経理ソフト

経理ソフト

青色申告の場合、税金の10万円控除と65万円控除の2つの選択肢があります。10万円控除を選ぶ場合、エクセルを使って経費帳を作成し、そこに経費を記載するだけで十分対応できます。しかし、簿記などの知識なしに65万円控除を狙う場合、エクセルだけでは経理の管理は難しいでしょう。その場合、経理ソフトの購入が必要となります。

経理ソフトとして有名なのは弥生会計です。仕訳などわからないことがあれば電話で問い合わせることができます。年間の費用は3万円弱となりますが、青色申告の場合、赤字になった年でもその損失を3年間繰り越すことができるなど、さまざまな優遇措置があります。したがって、最初から青色申告を選択しておくことを推奨します。

費用

導入費用:1万~
年間サポート費用:3万円~

まとめ

さて、個人事業主として開業する際に準備するもののリストアップ記事はいかがでしたでしょうか?既にパソコンや電話などの通信機器をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

掲載したものは一般的なものであり、個人事業主やフリーランスの業種によって必要なものやコストも異なります。一般的に、個人事業主の開業は株式会社の設立と比べて準備費用や時間がかからない傾向にあります。気持ちさえあればチャレンジできます。

最後になりますが、弊社では個人事業主の方々向けに簡単かつ手頃な価格で利用できるバーチャルオフィスを運営しております。バーチャルオフィスとは初めて聞く方には以下の記事を参照していただければと思います。

月額1,955円からご利用いただけますので、ぜひご検討ください。

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オフィスナビ編集部

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