バーチャルオフィスの法律「犯罪収益移転防止法」について

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バーチャルオフィスの法律「犯罪収益移転防止法」について

バーチャルオフィスを利用する際には、運転免許証や登記簿謄本などの公的な身分証明書が必要です。これは、「犯罪収益移転防止法」によって定められているためです。

バーチャルオフィス業界は、申込みから運用ルールまで、実は「犯罪収益移転防止法」によって定められています。経済産業省が定めたルールに従って運用しなければなりません。

本記事では、バーチャルオフィス業界に焦点を当てて、「犯罪収益移転防止法」の概要と目的について解説します。この法律は、バーチャルオフィス業界以外でも、電話代行、不動産、金融機関、各種士業など、幅広い業界に適用されています。その目的は、住所が犯罪に利用されることを防ぐため、本人確認を徹底することです。

ここでは、バーチャルオフィスが該当する「郵便受取代行業」という業種に絞って解説します。分かりやすく説明するために、あえて簡略したり省略した部分もあり若干正確性を欠く場合がありますが、概要だけでもご理解いただけることを願います。

そもそも犯罪収益移転防止法とはどんな法律

身分証明書

犯罪収益移転防止法は、犯罪で得たお金を隠したり、普通のお金のように見せかけることを防ぐ目的の法律です。2007年に成立しました。このような犯罪で得たお金を隠す行為を「マネーロンダリング」と言います。この法律の主な目的は、マネーロンダリングを困難にして、犯罪を抑制することです。

犯罪収益移転防止法では、バーチャルオフィス、電話代行、不動産会社、銀行など、さまざまな業界で働く人たちが、お客様の正確な身分を確認することが求められています。

例えば、バーチャルオフィスのケースでは利用したい人がいた場合、その人は運転免許証や登記簿謄本などの身分証明書を提示して自分の身元を明かす必要があります。

このような手続きが必要な理由は、バーチャルオフィスや不動産などのサービスを利用して詐欺犯罪をする犯罪者やマネーロンダリングする人がいるからです。利用者の身分をきちんと確認することで、マネーロンダリングや犯罪を行うことを難しくし、社会全体を安全に保つことができます。

犯罪収益移転防止法が定められた時代背景

怪しい人

犯罪収益移転防止法が成立した背景には、1990年から2004年頃に流行した特殊詐欺が社会問題として表面化したことが一因として挙げられます。この法律が求められるようになりました。

2000年前半まで、バーチャルオフィスはあまり一般的ではなく、そのような名称も使われていませんでした。主に会社を登記する場合でも、住所貸しや私書箱などが主に利用されていました。しかしながら、このような特殊詐欺グループは、素性を隠すために私書箱を多用し、私書箱が隠れ蓑になっていました。実際には、私書箱を使った詐欺事件がマスコミでも取り上げられるほど多発していました。

このような時代背景があり、2007年に犯罪収益移転防止法が制定されました。

バーチャルオフィスは郵便物受取サービス業に該当する

犯罪収益移転防止法の対象業種

犯罪収益移転防止法の対象業種は、金融業界、不動産、宝石・貴金属取引業、弁護士・税理士・公認会計士・司法書士、輸出入業者、電話代行業者、郵便受取代行業者です。金融業界には、銀行、信用金庫、証券会社、保険会社、投資信託会社、クレジットカード会社が含まれ、多くの金融取引を行うことから、犯罪収益の移転に利用される可能性が高いため法律の対象となっています。

また、高額な取引が行われる不動産業界も同様の理由で、犯罪収益の移転に利用されることがあるとされています。税理士や弁護士の士業業種も対象となっており、これらの業種は顧客からの信頼が求められることから、犯罪収益を隠すために利用されることがあると考えられています。

そして、バーチャルオフィスには、郵便受取代行業や電話代行サービスも含まれており、犯罪収益移転防止法の対象となります。

バーチャルオフィス運営事業者が絶対に守らなければいけないこと

令和4年6月犯罪収益移転防止法に基づく郵便物受取サービス業者(私設私書箱)の法令遵守事項は、以下の4項目です。

  • 取引時の本人確認の徹底
  • 取引記録の保持
  • 怪しい取引は直ぐに相談
  • 社内で犯罪などに使用されないための社員教育や運用ルールの徹底

1取引時の本人確認の徹底

バーチャルオフィスにおいては、申し込み者の身分証明書の本人確認が必要です。個人と法人、対面契約と非対面契約(電話やメールだけ)によって必要な書類やルールが異なってきます。

下記の通り4つのパターンがあります。

個人 対面の場合 パターンA
非対面の場合パターンB
法人 対面の場合パターンC
非対面の場合パターンD

個人の場合

申し込みに際して必要な書類は、原則として以下のとおりです。

  • ・運転免許証
  • ・運転経歴証明書
  • ・在留カード
  • ・特別永住者証明書・マイナンバーカード
  • ・パスポート
個人の対面の場合(パターンA)

経産省のガイドラインでは、確認書類の原本を提示し、顔写真付きの公的証明書によって身分証明を行います。つまり、対面の場合は申し込み者が直接来店して、本人確認の目視確認が必要です。

個人の非対面の場合(パターンB)

①まず非対面の場合は本人確認の書類が2つ必要になります。例)免許証と公共料金の支払いの領収書

②電話やメールでの非対面契約の場合、申し込み者から送られた身分証明書のコピーだけでは本人確認ができません。そのため、バーチャルオフィス側が、本人確認書類と同じ住所に申し込み書などを送り、住所と本人の整合性を確認する必要があります。記載された住所が実際に申し込み者が居住している場所であることを確認できない場合は、バーチャルオフィス側から申し込み書を受け取ることができず、契約が成立しません。これにより、本当に住んでいることと偽の身分証明書でないことが証明されます。

法人の場合

法人の場合も、対面契約と非対面契約ではそれぞれ異なります。

法人対面の場合(パターンC)

①登記事項証明書、印鑑登録証明書、申し込みの目的の申告、事業内容が確認できる書類の提示と実質的支配者の申告

②バーチャルオフィス申し込み者の本人確認個人の場合と同様に、免許証などの公的身分証明書が必要です。

③該当法人と申し込み者との関係の確認

登記事項証明書に役員や代表として名前が確認できれば問題ありませんが、社員などの場合は、委任状などが必要です。

非対面の場合・メールや電話(パターンD)

①登記事項証明書、印鑑登録証明書、申し込みの目的の申告、事業内容が確認できる書類をメールやFAXで送付してもらいます。

②登記事項証明書に記載された住所あてに、「転送不要」にして申し込み書(取引の目的や事業内容などを申告してもらう)書類を書留で送付し、記載してもらった後に返送します。

③申込者にも、個人非対面の場合と同様に、免許証などの身分証明書と公共料金の領収書をメールやFAXで送信してもらい、こちらの住所にも申し込み書などを送り、記載してもらい返送してもらいます。

④該当法人と申し込み者との関係の確認
登記事項証明書に役員や代表として名前が確認できれば問題ありませんが、社員などの場合は、委任状などが必要です。

3確認記録・取引記録の作成及び保存

メディア保存

バーチャルオフィス業者は、郵便物受取サービスにおいて現金を含む郵便物の受け取り及び引き渡しを行った場合、取引記録を作成し、7年間保存する義務があります。また、特定事業者として取引時の確認記録も作成し、同じく7年間保存する必要があります。

4疑わしい取引の届出

チェックする人

郵便物受取サービス業者(私設私書箱)は、法令遵守事項の中に「疑わしい取引の届出」という項目があります。もし受け取った荷物に明らかに現金の束が含まれているなど、疑わしい場合には速やかに関係公的機関に相談し、届け出る必要があります。

5継続的なリスク対策

マニュアル

郵便物受取サービス業者(私設私書箱)は、法令遵守事項の中に「取引時確認等を的確に行うための措置」という項目があります。バーチャルオフィスは犯罪に利用されるリスクが常にあるため、積極的にリスク対策を行う必要があります。具体的には、以下のようなことが挙げられます。

  • 社員教育用のマニュアルの作成
  • 定期的に郵便物の受け取り記録を確認し、不審なものがないか調べる
  • 上記システムを社内でルーチン化すること

要するに、機械的な手続きだけでなく、常に不審な取引に目を光らせ、積極的に詐欺や犯罪に利用されることを防ぐための体制を整えることが重要です。

まとめ

犯罪収益移転防止法について、バーチャルオフィスの契約方法や運用が定められていることについて、分かりやすく説明しましたがいかがでしょうか?

過去にバーチャルオフィスを契約された方には、業種や事業内容に関する質問や郵便物の審査が行われたことに疑問を抱かれた方もいらっしゃると思いますが、これは犯罪に悪用されるのを未然に防ぐための措置です。バーチャルオフィスや不動産などのサービスを利用して詐欺犯罪やマネーロンダリングを行う犯罪者がいるため、利用者の身分を確認することが必要です。

身分確認によって、マネーロンダリングや犯罪を行うことを難しくし、社会全体を安全に保つことができます。

最後に、弊社が提供する「住所のみのバーチャルオフィス格安コース」をご紹介します。法人登記OKで、月額1,955円~で利用できます。郵便転送は月4回以上、有人受付対応もあり、コスパが非常に良いとお客様から評価をいただいています。バーチャルオフィスの利用を検討されている方は、ぜひご利用ください。

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オフィスナビ編集部

「バーチャルオフィスのオフィスナビ」のお役立ちコラムです。 バーチャルオフィス、起業、働き方のスタイルについて有益な情報を発信していきます。

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