「バーチャルオフィス」の利用でトラブルが起こることは稀ですが、初めて借りる方は不安も多いと思います。
弊社はこれまで11年間のバーチャルオフィス運営経験と累計1000社超えるお客様との契約実績があります。11年の間でお客様から聞いたことや、弊社内でも実際にあったトラブルの経験について述べていきたいと思います。
備えあれば憂い無しです。この記事を読むことにより事前にトラブルやリスクになりそうな問題を把握できありがちなバーチャルオフィスのトラブルを回避することが可能ですので、是非最後までゆっくり一読ください。
これはかなり昔になりますが、弊社のお客様から聞いた他社のバーチャルオフィスのトラブルに纏わるお話です。 そのお客様(仮にA様とします)は求人広告など人材系の広告代理店を事業をおこない、西新宿に拠点を持つバーチャルオフィスと契約していました。
営業スタイルは新規開拓が中心で、電話やメールなどで企業の人事担当者にアポイントをとり訪問。求人広告の掲載を提案する営業でした。
ある時Aさんは中規模IT系の企業の人事担当者Bさんにアポをとりました。最初のアポは本当に挨拶だけのアポイントでしたが、その企業にまめに通い、継続的に役立つ情報提供して担当者Bさんとの信頼関係を築いていきました。
そういったAさんの努力もあり、ある時Bさんから「社内でエンジニアの募集することになった提案して欲しい」と提案のオファーを受けました。Aさんは早速提案書と見積書を出したところ前向きに検討していただき、ほぼ受注になる寸前のところまでいきました。
しかしそれが暗転することになります。 ある日その人事担当Bさんが新卒の会社説明会で新宿に行くことになりました。たまたまAさんの名刺に記載された会社住所に近い場所での開催のため、挨拶がてらAさんのオフィスに寄ることにしました。
Bさんがオフィスを訪れたところ、そのオフィス住所の表札には別の会社が表示されていました。
しかもこのバーチャルオフィスは無人だったらしく、人の気配全くしないようでした。人事担当者Bさんも「バーチャルオフィス」については全く知識が無かったため、恐らくものすごく怪しいと感じたのでしょう。
後日Aさんに電話をかけ「立ち寄ったところ別の会社が入居していた」ことを伝えました。慌ててAさんは「名刺記載のオフィスはバーチャルオフィスで自分は普段は家で仕事している」という旨のことを伝えました。人事担当者のBさんも「バーチャルオフィス」は理解したようでしたが、取引額が数百万単位だったということもあり、結局取引は成立せず、他の会社に契約がとられてしまったとのことです。
もちろんAさんのオフィスが「バーチャルオフィス」だったことが取引不成立の原因では無かったかものしれません。しかしBさんが訪れたオフィスは無人のためかあまり良い印象を残さなかったのは事実です。
郵送物が「バーチャルオフィス」に送られてきているのに転送されなかったり、遅送、誤送はどこのバーチャルオフィスでも起こっている代表的なトラブルです。
お恥ずかしい話ですが弊社でも過去にございました。 一拠点のバーチャルオフィスの契約数は数百件以上、多いところで千近い契約を獲得しているバーチャルオフィス運営会社もあるのではないでしょうか。そうなると毎日もの凄い数の郵便物がそのバーチャルオフィスに届きます。
バーチャルオフィスの業務フローは郵便物が届いたら、郵便物を契約者ごとに仕分けして保管します。その後発送日がきたら郵便物をまとめ契約者に発送します。
業務過程で郵便物の仕分けと発送は人間が行う作業です。そのためどうしても人為的なミスや間違いが発生します。絶対にあってはならないミスなのですが、似たような名前の会社がある場合、誤って送ってしまう場合もあります。
最近では請求書の電子化も進み、請求書などが郵送で送られてくるケースは少なってきましたが、それでも請求書の郵送はあります。請求書の他にも、税金納付書、社会保険納付書など支払いに関する郵送物は結構多いのです。 たいていのバーチャルオフィスのは郵便物が届いたらすぐに転送するのでなく、月に何回か決められた日にまとめて発送します。
そのため郵便の受け取りにタイムラグが発生し請求書の受け取りが遅れ、支払い期限まで払えないといったトラブルが発生しがちです。支払いが遅れてしまうと取引先の信頼関係にも影響します。
これは弊社でもあった事例です。社名変更や個人事業主からの法人なりで会社名を変更されその旨をバーチャルオフィス運営会社に連絡しないと、郵送物がそのまま送り主に返される可能性があります。
原則どこのバーチャルオフィスも契約社名以外の宛名で郵便物が届いた場合、郵便物をうけとらず、そのまま郵便局に引き取ってもらい送り主に「宛先不明」ということで返送されることになりな流れになります。
また別のケースですが、ほとんどのバーチャルオフィス運営会社は契約上1契約につき「1会社(個人事業)の名義」となっています。
例えばAさんが所有する会社で「バーチャルオフィス」の契約したとします。しかしAさんは自分の会社とは別に個人事業主として副業などで活動していた場合、個人名のAさんは契約の対象外ということになるので、個人でAさんに送られてきた郵送物などは受け取り拒否される場合があります。
これは「バーチャルオフィス」によって契約の考え方も違うため、その点注意が必要です。
「バーチャルオフィス」の事業はストック型ビジネスモデルなので、劇的に売上が伸ばせる業種ではありません。しかし一定のお客さんがつくと、比較的に経営は安定する業種です。しかしその反面新規参入も多く競争が激しくなっており、年々数社の「バーチャルオフィス」が閉鎖、撤退します。
そのようなバーチャルオフィスの倒産や閉鎖などによるリスクはどのように影響してくるのでしょうか。
1つ目は印刷物の刷り直しとホームページの変更です。バーチャルオフィスが閉鎖廃業された場合その住所利用ができなくなるので、他のバーチャルオフィスを乗り換えるか、賃貸オフィスを借りる必要があります。そうなると「会社案内」「名刺」「営業資料」の印刷の刷り直しや、ホームぺージの変更が必要で、それなりにコストが発生します。得意先の会社住所変更の通知などの作業も行う必要があり労力も使います。
2つ目は登記の変更です。「バーチャルオフィス」に法人登記していた場合、登記変更を申請する必要があります。登記変更には司法書士に依頼擦る費用と登記変更費用など余計なコストが発生します。
会社の寿命説は約30年とされており、バーチャルオフィスに限らずどんな会社でもいずれは無くりますので、そのようなリスクを予め考えておいた方が良いでしょう。
バーチャルオフィスは費用も安く手軽に簡単に契約できるため、詐欺を目的にするか詐欺に悪徳業者に利用されるケースがあります。現在バーチャルオフィスの契約には収益防止移転法などの法律に定められており、顔写真入りの身分証明書や所定の手続きを踏まないと契約できないようになっておりますので、昔に比べてれば犯罪で利用されるケースが減りました。しかし残念ながら、クレームの多い悪徳業者や詐欺に近いグレ―ゾーンの企業の利用は今でもあります。
警察沙汰になった事件例は本当に稀ですが、過去には振込詐欺集団などに利用されマスコミで報道されることもありました。事件の程度にもよりますが、マスコミで話題になると詐欺に使われた住所などがsns、ネットなどで拡散される恐れがあります。バーチャルオフィスの住所が共有ですので一件でもそのような業者が出ると、ネットなどで 広まり同じ住所を使用していたので悪影響を受けかねません。
当然当社を含め、他のバーチャルオフィス運営者も法律に則り、厳しい審査をおこなった上で契約しているところが大半ですが、悪徳業者も非常に巧妙な手口で契約するので、防ぎ切れないところもあります。
バーチャルオフィスの付属オプションに電話代行があります。電話代行サービスはお客様あてにかかってくる電話をオペーターが受信し要件を聞きバーチャルオフィス契約者に伝えるサービスです。電話代行で時々あるトラブルは「緊急に対応して欲しいお客さんや、クレームで電話をかけてきたお客様の対応」です。
緊急やクレームでかけてきた方は電話代行オペレーターのことをバーチャルオフィス契約者の会社の社員と思っている場合が多く。「電話代行オペレーターに直ぐ対応しろ」と言ってくる場合があります。そのような場合でもオペレーターは担当者に連絡する以外の対応できません。
しかし電話をかけてきた側からすれば、オペレターが何も対応していないように見えるので「社員のくせに融通が効かない」などそのような悪印象を持たれてしまう場合があります。