個人事業主が法人化するメリットとデメリットを考えてみた

「個人事業主か法人化か?」迷っているあなたへ

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一人でビジネスを始めたいと思っている方々にとって、個人事業主として進むべきか、それとも法人化を選ぶべきか迷うことがあるかもしれません。

弊社はこれまで11年間、バーチャルオフィスを運営してきました。多くの個人事業主の方々と契約し、その中で「法人化するべきかどうか」に迷っている方々を見てきました。

この決断は、あなたのビジネスの運営スタイル、財務管理、税務対策、そして将来の展望に大きな影響を与えます。本記事では、個人事業主と法人化のそれぞれのメリットとデメリットを詳しく比較し、最善の選択をするための具体的な情報を提供します。

この記事を読むことで、自身のビジネスに最適な形態を選択する際の視野が広がり、長期的な成功に一歩近づくことができるでしょう。最終的には、個人事業主と法人化の選択はビジネスの規模、目標、そして将来の展望によって大きく左右されることを理解していただけると思います。

目次

個人事業主が法人化するメリット

まず最初に、個人事業主が法人化する際の経済的な損益分岐点について考えてみましょう。一般的に、年収が500万から600万円以上となる場合、法人化を検討すると良いとされています。

これは、法人化による税金や税理士のコストなど、法人運営に伴う経費が増えるためです。もし年収が500万円以下の場合、これらのコストを考慮すると、収益面から見ると個人事業主のままでいる方が経済的に有利になることが多いです。

しかし、経済的な観点だけでなく、個人事業主が法人化する際には他の多くのメリットが存在します。以下、その主なメリットについて詳しく説明します。

1個人事業主に比べ法人化することで節税が可能に

節税

ビジネス形態が個人事業主から法人に変わると、税金の取り扱いも異なります。この税務上の変化は、節税という大きな利点をもたらす可能性があります。

個人事業主の収入全体は所得として課税され、税率は累進的に増加します。これは、収入が増えるほど、支払う税金の比率も高くなることを意味します。一方、法人の利益に対する法人税は一定の税率が適用され、利益が増えても税率は変動しません。

法人化により、認められる経費の範囲が広がるという利点があります。法人として運営することで、ビジネス運営に必要な様々な費用を経費として計上できます。以下に、法人化による節税の具体的な例をいくつかご紹介します。

1.社長の給与を経費にすることが可能です。

個人事業主から法人に移行し、一人社長になった場合、会社が社長に支払う給与は、原則として定期同額給与、つまり毎月一定の支給額となる給与だけが必要経費として認められます。これにより、所得税の節税が可能になります。ただし、社長の給与を無制限に全て経費にできるわけではなく、一定の条件があります。個人事業主では、青色申告特別控除制度を利用しても最大で65万円(電子申告または電子帳簿保存の場合)の控除に限られます。

2.家賃を経費計上することが可能です。

一人社長になると、役員社宅制度を活用して家賃を経費として計上することができます。会社名義で取得した社宅を会社の役員に貸し出すことで、家賃を経費に計上することが可能になります。

その他にも多くの節税のメリットがあります。例えば、福利厚生や出張旅費規定を利用して実費以上を経費計上することが可能であったり、赤字が発生した場合、最大10年間にわたって赤字を繰越計上することができます。

これらの節税の利点は、事業の利益を最大化し、ビジネスの成長を支える重要な要素となります。さらに、これらの節税策は、事業の財務管理の柔軟性を高め、より戦略的なビジネス運営を可能にします。

ただし、法人化による節税の利点を最大限に活用するためには、適切な税務知識と計画が必要です。また、ビジネスの規模や性質、将来的な成長予測などによって、法人化が最適な選択であるかどうかは異なります。そのため、専門家の意見を求めることをおすすめします。

以上のように、法人化による節税の利点は、個人事業主が法人化を検討する上で重要な要素となります。

2信頼度が増す

握手

ビジネスを行う上で、社会的な信頼度は極めて重要な要素です。そして、この点において、法人化は個人事業主に対して一定の優位性を持っています。

法人化により、そのビジネスは一個人の活動から、公的に認知された組織としての活動へと移行します。これにより、企業は公的な存在となり、その結果、顧客、取引先、投資家などからの信頼度が高まる可能性があります。

特に、大手企業と取引を行う場合や、大規模なプロジェクトを手がける場合、法人として事業を行っている方が、信頼性や安定性を示すことができます。これは、法人が一定の法的な手続きを経て設立され、会計監査などの透明性を確保する仕組みがあるためです。

また、法人化は社会的信頼度を高めるだけでなく、その結果としてビジネスの営業活動にもポジティブな影響を及ぼします。例えば、信頼性が高まることで新規の顧客獲得が容易になったり、既存の顧客との取引がスムーズになったりします。また、信頼性の向上は、投資家からの資金調達やパートナーシップの締結、優秀な人材の採用など、ビジネスの様々な面で優位性を生む可能性があります。

3実は個人事業主より法人の方がリスクが少ない

リスク

「個人事業主より法人化の方がリスクが少ない」という主張は驚きかもしれませんが、実は事業運営の観点から見ると、法人化の方がリスクを軽減する可能性があります。

リスク管理はビジネス運営における欠かせない要素です。その視点から言えば、法人化は個人事業主に比べていくつかのリスクを軽減する利点を持っています。特に、大規模な借金を背負った場合、法人化は個人事業主と比べて法律上のリスクが少ないです。

個人事業主として事業を行う場合、事業に関する負債は無限責任となります。つまり、仮に事業が困難に陥り、借金が発生した場合、自己の私財をつぎ込んで返済することが求められます。

一方、法人化すると、ビジネスと個人との間に法的な壁が設けられます。これは、事業が赤字になったり、借金を背負った場合でも、その責任が個人の財産に直接影響を及ぼさないという保証をもたらします。

特に株式会社や合同会社の場合、法律上、負債は有限責任となります。つまり、出資の範囲内でのみ事業の負債を負うことになり、それ以上の個人の財産は保護されます

なぜなら、銀行などの金融機関は、取引の際に経営者の自宅などを担保に入れるためです。これにより、もし事業が困難に陥り、取引先に大きな借金や買掛金を残して倒産したとしても、法律的には個人の財産は守られます。

倒産しても私財は保護されるのです。しかし、個人事業主の場合、無限責任の原則により、支払い義務が発生します。

個人事業主が法人化するデメリット

1設立に手間やお金がかかる

法人化するためには、設立に手間と費用が必要です。まず、設立に必要な手続きは時間と労力を要します。これには、事業計画の作成、定款の作成、公証役場への定款認証申請、法人登記申請などが含まれます。これらの手続きは専門的な知識を必要とするため、専門家に依頼する場合もあり、その場合には専門家への報酬も必要となります。

また、設立には一定の費用がかかります。具体的には、公証役場への定款認証申請には約5万円、法人登記申請には登記税として約15万円(資本金が1,000万円の場合)が必要です。これに加えて、登記簿謄本の取得費用や印紙代、専門家への報酬などが発生します。

以上のように、法人化には手間と費用がかかるため、その準備と計画をしっかりと行う必要があります。これは、個人事業主が法人化を検討する際の重要なデメリットとなります。

2会計処理が複雑で税理士に依頼が必要

税理士

法人化すると、会計処理が複雑になるため、多くの場合、税理士に依頼する必要が出てきます。個人事業主の場合は、会計ソフトを使用して青色申告を自分で行うことができますが、法人の場合は、税法がより複雑であり、税務署への提出書類も増えます。これらの会計処理を誤ると税務調査のリスクが高まるため、専門家である税理士に依頼することが一般的です。

税理士に依頼する場合、その費用は月額で数万円から十数万円程度が一般的です。具体的な費用は、業務内容や規模、税理士事務所の方針などによりますが、これが毎月の固定費となります。

一方、個人事業主の場合は会計ソフトを使用することで、月額1,000円から3,000円程度で会計処理を行うことが可能です。ただし、時間と労力も必要です。

以上のように、法人化すると会計処理が複雑になり、税理士に依頼する必要が出てくるため、その費用が増えることは、法人化のデメリットの一つと言えます。

3 赤字になっても最低税金がかかる

個人事業主と法人の違いの一つに、赤字時の税金負担があります。個人事業主の場合、事業が赤字となったときは所得がないとみなされ、所得税は基本的に発生しません。

しかし、法人化した場合、利益が出ていない、つまり赤字であっても一定の税金が必要となります。具体的には、法人住民税というものが存在し、これは年間で最低でも約7万円の支払いが必要となります。

これは、法人が地方自治体に対して支払う税金で、企業の規模や業績に関係なく最低限度の金額が課せられるものです。したがって、赤字が続いていてもこの税金は避けることができません。

つまり、法人化すると、事業が赤字になっても一定の税金が発生するという点は、個人事業主にはないデメリットとなります。これは法人化を考える際に、慎重に考慮すべき要素の一つです。

4青色申告特別控除が無い

個人事業主は「青色申告特別控除」という税制優遇措置を受けることができます。これは、年間の所得から最大で65万円を控除することができるというもので、利益が少ない初期段階では大きなメリットとなります。

しかし、法人化した場合はこの控除制度が適用されません。つまり、同じ利益を上げたとしても、法人の方が税負担が大きくなる可能性があります。

また、個人事業主になるには税務署への届出だけで、時間にしてわずか1時間程度、費用は0円でビジネスを始めることができます。これに対して法人化には手続きや費用がかかります。

しかし、個人事業主の最大のデメリットとして、社会的な信頼度が低いという点が挙げられます。一部の企業は法人でないと取引を拒むこともあります。したがって、ビジネスを始める際は、初めは個人事業主としてスタートし、事業が軌道に乗ったら法人化する、という戦略も有効です。

まとめ

個人事業主から法人への移行は、ビジネスのスケールアップを図る際の重要な選択肢の一つです。法人化は、節税効果やビジネスの信頼性向上などのメリットがあります。また、法人税は一定の税率であり、経費の範囲も広がるため、利益が増えるほど節税効果が高まる可能性があります。

しかし、法人化には設立に手間や費用がかかる、会計処理が複雑化し税理士の依頼が必要となる、最低税金が発生する、青色申告特別控除が利用できないといったデメリットも存在します。

これらを総合的に考えると、事業の規模や利益、ビジネスの性質によって、個人事業主と法人のどちらが適しているかは異なります。したがって、専門家の意見を求め、自身のビジネスに合った形態を選択することが重要です。最初は個人事業主から始め、ビジネスが軌道に乗ったら法人化するというアプローチも考慮に入れてみてはいかがでしょうか。

最後になりますがこれから法人なりを希望される個人事業主の方のために弊社ではバーチャルオフィスの活用をお薦めしています。

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バーチャルオフィスとは初耳というと下記の記事を参照ください。

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