個人事業主のメリットデメリット

ビジネスを始める際には、その形態を決定することが一つの大きなステップです。法人化するか、それとも個人事業主として行動するかは、ビジネスの規模、目標、そしてあなた自身のライフスタイルや税金に対する考え方に大きく影響されます。

当社はこれまで11年間、バーチャルオフィスを運営し、1000社以上のさまざまな業種のお客様を起業のお手伝いをしてきましたが、その中で、個人事業主から法人化するのに悩む方を多数見てきました。

そこでここでは、個人事業主として活動するメリットとデメリットについて、そのような悩みを解決できるかという観点で解説します。

目次

個人事業主のメリット

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税務署届出に関しては費用はかからないというメリット

個人事業主になることには多くのメリットがありますが、一つの特筆すべき点は、税務署への届出に関して費用がかからないということです。これは特に、個人事業主と法人(特に株式会社や合同会社)を比較する際に重要なポイントとなります。

株式会社や合同会社を設立する場合、そのプロセスはさまざまな手数料や登記費用を伴います。これらは、事業を始める前の初期投資となり、結果的には初期の費用負担を増大させます。そのため、資金面で制約がある起業家やスモールビジネスオーナーにとっては、これらの費用は大きな障害となり得ます。

一方、個人事業主として事業を始める場合、税務署への届出に関する費用は一切かからないため、初期費用を抑えることが可能です。これにより、事業の設立に関する経済的なハードルを下げ、より早く事業活動を開始することが可能になります。

2

開業届も手間暇かからず、簡単

個人事業主として事業を始める場合、その手続きは驚くほど迅速で簡単です。これは、特に法人(特に株式会社や合同会社)と比較した際に大きなメリットとなります。

法人を設立する場合、様々な手続きを経てから事業活動を始めることができます。設立手続きには多くの書類が必要で、時間としては最低でも2~3日はかかるとされています。さらに、手続きが完了してから事業活動を開始できるまでには、さらなる時間が必要です。

これに対し、個人事業主として事業を始める場合、手続きは非常にシンプルで効率的です。開業届を提出するだけで、事業を始めることができます。そして、提出する書類も少なく、2~3時間の手続きで終わるとされています。

現代のビジネス環境は、インターネットを始めとする情報技術の進歩により、変化が速く、モタモタしていると事業を成功させるタイミングを失ってしまいます。このような状況下で、タイミングを逃さず素早く事業を開始するには、個人事業主として開業する方が適していると言えます。

しかし、手続きが簡単な反面、個人事業主のリスクも忘れてはなりません。個人事業主は、自己責任が原則であり、法人と異なり、個人の責任と事業の責任が一体となります。これは、事業がうまくいかない場合、個人の資産が直接的なリスクにさらされることを意味します。そのため、事業の形態を選択する際には、リスクとメリットをきちんと比較検討することが必要です。

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利益が出ない場合税負担は法人よりも軽い

税金

起業を検討する際、事業の形態を選ぶ重要な要素の一つが税負担の大小です。これは法人(特に株式会社や合同会社)と個人事業主とを比較する際に特に重要となる考慮点です。

法人の場合、利益が出ない状況でも均等割りの法人住民税が発生します。これは最低でも年間7万円の負担となります。これは、ビジネスがまだ成熟していない段階や利益が出ていない時期にとっては大きな負担となり得ます。

一方で、個人事業主の場合、利益が出なければそれに応じた税金が発生しないため、その点では負担が軽減されます。均等割りの住民税は個人事業主には適用されないため、初期段階でのコストを抑えることが可能です。

しかし、この点はあくまで個人事業主の一面的なメリットであり、必ずしも全てのシチュエーションで個人事業主が優れているわけではありません。例えば、事業が成長し、利益が増えると、所得税や消費税の負担が増えます。また、個人事業主の場合、自己の財産と事業財産が一体化しているため、事業に関連するリスクが個人財産に直接影響を及ぼす可能性もあります。

したがって、個人事業主と法人のどちらを選ぶかは、初期の経費、将来的な成長見込み、個人の財産と事業財産のリスク分散の観点など、様々な要素を総合的に考慮して決めるべきです。

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青色特別控除の最大65万円の控除がある

青色

個人事業主として起業する場合の大きなメリットの一つに「青色申告」があります。これは個人事業主が選択可能な税務上の制度で、特に青色申告を選択することで享受できる「青色特別控除」は大きな利点となります。

青色申告を行うと、一定の条件を満たした場合、所得から特定の金額を控除することができます。具体的には、青色申告を選択すると、所得税の計算において特別控除が認められ、一定額(2021年時点では65万円)を所得から控除できます。これにより、税負担を軽減することが可能になります。

しかし、青色申告を行うには一定の条件があり、経理に関する管理が求められます。例えば、適切な帳簿の維持、必要な書類の保管など、適切な記録管理が必要となります。これらは、事業の規模や複雑さによっては、時間と手間を必要とする作業となります。

個人事業主のデメリット

1

信頼度が法人に比べ低い

ビジネスを始める際、事業形態を選択するというのは重要な決断です。その一つに、個人事業主と法人の選択があります。個人事業主には設立費用や手続きの簡便さなど、一見魅力的な面が多いですが、その一方でデメリットも存在します。その一つが、信頼度の問題です。

個人事業主は法人に比べ、ビジネスの信頼度が低いと捉えられることがあります。その理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。

ビジネスの継続性

個人事業主の場合、事業主が体調を崩したり、急な事故に遭遇したりした場合、そのビジネスの運営が停止する可能性があります。法人の場合、社員や役員が複数いるため、個々の人間が遭遇した問題が直接的にビジネスの継続性に影響を及ぼすことは少ないです。

規模感と信頼感

法人という形態は、組織の規模感を表すものであり、多くの人々がそれを信頼感と結びつけて解釈します。対して個人事業主は、必然的に一人でビジネスを運営しているイメージを持たれがちで、顧客やパートナーから見ると、その信頼性に疑問を感じる場合があります。

契約の安定性

法人は契約に対する信頼性と安定性を提供します。法人の場合、契約は法人名義で結ばれるため、個々の人間の状況とは無関係に、契約が続行されます。個人事業主の場合、契約は個人名義で結ばれるため、事業主の健康状態や私的な問題がビジネスに影響を及ぼす可能性があります。

これらの理由から、大きな契約を結ぶ際や長期的なビジネス関係を築く際には、法人形態の方が信頼度が高く見えることがあります。

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新規の取引先が見つけにくい

個人事業主の一つの挑戦は、新規の取引先を見つけることです。これは特に、法人に対するビジネス展開を考えている場合に顕著になります。その背景にはいくつかの要因があります。

リソースとネットワーキングの制限

個人事業主は、自分一人で事業全体を管理しなければならないため、新規の取引先を探すための時間やエネルギーが限られています。また、個人事業主は、企業が持つような広範なネットワークやリソースを持つことが難しく、このことが新規取引先の発見に影響を与えます。

認知度と信頼性の問題

新規の取引先を得るには、自身の事業やサービスに対する知名度と信頼性が必要です。法人は、その名称やブランド、そして組織の規模感によってこれらを強化できます。対して、個人事業主はこれらの点で挑戦が大きく、新規の取引先が見つけにくい状況を生むことがあります。

企業の方針と対応力

大手企業はしばしば、取引先として法人を選ぶ傾向があります。これは法人の方が信頼性が高いと見なされるためです。また、法人は一定の規模と人員を持っているため、問題が生じた際の対応力が個人事業主よりも高いと評価されることがあります。

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所得が増えれば税金が法人より多くなる

個人事業主としてビジネスを展開する際のメリットの一つに、初期の税負担の軽減があります。しかし、収益が増えるにつれてその状況は変わります。なぜなら、所得が増えると、個人事業主の税負担は法人よりも増える傾向があるからです。

日本の税制において、個人事業主の所得は所得税と住民税で課税されます。所得税率は進行性を持ち、最高税率は55%(2021年時点)に達します。一方、法人税は一定の税率(2021年時点で基本的に23.2%)で課税されます。

したがって、所得が一定の額を超えると、個人事業主の税負担は法人よりも高くなります。さらに、法人には、経費として認められる項目が多いため、節税措置を取ることが可能です。例えば、社員の給与や福利厚生費、事業用の資産の取得費やリース料、広告費などが該当します。

これに対して、個人事業主の場合、個人の生活費と事業経費の区別が曖昧になる可能性があり、これが税務調査のリスクを高める可能性があります。これは、税務当局がビジネス経費として控除された項目が実際には個人的な経費ではないかを確認する可能性があるからです。

以上の理由から、所得が一定の水準を超えると、個人事業主の税負担は法人よりも高くなり、また、法人の方が節税措置を取ることが容易であるという事実を念頭に置くことが重要です。これらを考慮に入れ、ビジネスの成長とともに、事業形態の選択を再評価することも必要かもしれません。

4

社会保険に加入できず、国民年金のみ

個人事業主として活動すると、一部の社会保障制度に加入することが難しくなる場合があります。その一つが、社会保険への加入です。

社会保険は、雇用者によって支払われる健康保険と厚生年金の制度であり、労働者の健康と退職後の生活を保障します。しかし、個人事業主は原則としてこれらの制度に加入できません。

そのため、個人事業主は国民健康保険と国民年金に加入することになります。これらは、社会保険とは異なり、個々の加入者が自己負担する形となります。

国民健康保険は、健康保険と同様に医療費の補償を提供しますが、社会保険に比べて補償範囲が広く、自己負担額が高いことが特徴です。また、国民年金は、厚生年金に比べて給付額が低く、収入に応じて増額することはありません。

また、社会保険には労働災害保険や雇用保険といった制度も含まれており、これらも個人事業主は利用できません。労働災害保険は、職場での事故による治療費や休業補償を提供します。雇用保険は、職を失った場合の生活を保障します。

したがって、個人事業主として活動すると、社会保険に比べて保障内容が限定的な国民健康保険と国民年金に頼らざるを得ません。これは、事業を始める際や経済的なリスクを考える際に重要な要素となるでしょう。

個人事業主の法人との比較におけるメリットとデメリットを取り上げてみましたが、どのように感じましたか?一般的には年商500万円を超えると、法人化するメリットがあるとされています。

しかし、もちろん、売上がそれ以下でも、営業的な利点は法人の側にあります。ですから、最初から法人化を考えるのも一つの選択肢です。

一方で、初期の売上予想がそれほど高くない場合は、まずは個人事業主としてスタートし、事業が順調に進んだ時点で法人化を検討するという流れもあります。このようなアプローチは、無駄な出費を削減しつつ、事業のスピーディな展開を可能にします。

さて、最後になりますが、弊社の会社では、これから起業を計画している方々や、すでに設立してしばらく経過したがオフィスの縮小や閉鎖を検討している方々に向けて、バーチャルオフィスサービスを提供しています。料金は月額1,955円からと、非常に手ごろです。詳細な情報については、以下のリンクからバーチャルオフィスの説明をご覧いただけます。

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オフィスナビ編集部

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