事業運営をして行く上で必要となる個人事業主の節税対策
個人事業主にとっての節税の意義と重要性
せっかく起業して成功しても節税をしないと、仕事をした割には手元にあまり現金が残らないことになってしまいます。お金の流れを詳しく把握して、適切な会計処理をして節税することが大切です。節税は脱税と違い、法律で認められた方法で納税額を少なくすることですから、積極的に行っても問題はありません。利益や税金のことを考えずにどんぶり勘定で事業を行う方が事業運営においては問題ですし、手持ちの資金を増やすことは事業運営を楽にします。売上げの思わしくない時でも、資金に余裕があれば長期間我慢していられますが、資金が乏しい状態ではすぐに事業運営が滞ってしまいます。節税して手持ちの資金を多くすることは、事業運営にとっては正しいことと言えるでしょう。
節税するためには、ます正しい節税の方法を知ることから始めましょう。個人事業主として効果的な節税方法を解説しますので、参考にしてください。
青色確定申告をすることで節税がしやすくなります
個人事業主は確定申告において白色と青色の二種類のうちから、自分で申告方法を選ぶことができます。節税のことを考えるなら、確定申告では青色申告を選ぶようにしましょう。白色申告をするより青色申告の方が経費を使いやすくなりますし、控除する科目と金額を多くなります。さらに、過去の赤字は3年間繰り越すことも可能なので、大変に節税しやすくなるでしょう。それに、以前は白色申告の方が経理を簡単に済ますことができましたが、平成26年からは白色申告する場合でも帳簿の記帳と保管が義務付けられましたので、白色で申告するメリットが少なくなっています。
そして、青色申告の簡易簿記ではなく、複式簿記を選ぶようにしましょう。複式簿記で行えば控除額は65万円、簡易簿記では10万円となりますから、青色簿記で確定申告するのであれば複式簿記を選ぶべきです。簿記のことを良く知らない人は複式簿記を敬遠しがちですが、パソコン用の会計ソフトを使えば簿記のことを知らなくても、簡単に複式簿記で処理をすることができます。いくつもの会計ソフトが販売されていますので、使いやすいものを選ぶと良いでしょう。ほとんどの会計ソフトが、無料で使える体験版を用意していますから、実際に使って試してから購入することができます。会計ソフトを購入する費用が必要となりますが、複式簿記にすることでソフトの代金以上の節税ができます。事業を拡大した場合には複式簿記の知識も必要となりますので、起業した時から複式簿記に馴染んでおくようにしましょう。会計に弱いと、地に足が着いた事業運営ができません。
そして、配偶者を青色専従者として申請しておくと、配偶者にも経費として給与を払うことができます。この青色専従者への給与額は自由に調節可能なので、大幅な利益が出そうな時などは給与を多くして節税することもできます。
使ったお金はしっかりと経費として処理しましょう
個人事業主の場合は、売上げから経費と各種種控除を引いたものが課税所得となります。経費をしっかりと計上することで、課税所得を減らして節税することができます。事務所の家賃・水道光熱費・通信費・交通費など、経費にできるものはたくさんあります。原則としては仕事に関係するものは全部経費となりますので、経費となりそうな支出に関しては、必ず領収書やレシートをもらうようにしましょう。領収書をもらえないものについては、日付・内容・金額などを記録しておけば大丈夫です。その場では経費になるか迷うこともあるでしょうから、お金を使った時は領収書をもらうか、内容を書きとめる習慣を付けましょう。
そして、業績が良くて大幅な利益が出そうな時は、事業を発展するのに必要なことに投資をする良い機会です。いくら利益が出るからといって、無駄なお金を使うことは慎むべきですが、事業を拡大させるための設備を購入したりセミナーへの参加費用などであれば、積極的におこないましょう。この投資が、後の事業展開に役立ちます。節税の効果があると共に、事業を確かなものにするための投資をしましょう。
小規模企業共済や確定拠出年金を始めましょう
小規模企業共済も、個人事業主の節税対策として有効な方法です。毎月1万円から7万円までの金額を積み立てることで、個人事業をやめた時に支払った金額に応じたお金をもらえるというのが小規模企業共済の内容ですが、毎月の掛け金は全て経費として控除することができます。短期間しか利用しないと損をしてしまう可能性もありますが、節税の効果もありますので加入することを検討しましょう。
節税のために、確定拠出年金の利用も考えてみましょう
確定拠出年金は老後にために備える年金制度です。確定拠出年金のために出したお金は控除の対象となりますし、運用して増えても税金がかかることはありません。65歳まで掛け金を引き出すことはできませんが、経済的に余裕があれば検討する価値はあります。
このように、個人事業主の節税方法はいくつもありますので、それらを上手く組み合わせて最大限節税できるようにするのが大切です。